個別指導塾の色々

◆「1対1」か「1対2以上」か
まずは1対1のマンツーマン指導か、1対2以上の個別指導かによって、授業内容および指導スタイルはまったく異なるといっていいでしょう。例えば、授業時間は90分だとして、1対1の場合、その90分の間、担当講師は一人の生徒のことだけを見ています。しかし、1対2だと、実質はその半分の45分間しか指導をしないことになります。そこで合間の時間を演習にあてるしかないわけです。サイクルとしては「演習」→「解説」→「演習」→「解説」というのが普通で、演習の面倒をみてもらいたい人には向いているかもしれませんが、いわゆる導入などの講義授業も要求したい場合は適さないものです。また、使用教材の融通が利き辛く、単調なカリキュラムにならざるを得ない状況もあります。つまり、量だけではなく質も下がってしまうということになります。

◆使用教材が均一かどうか、あるいは、持ち込み可能かどうか
先の話にもありましたが、1対1か1対2以上かの差は、使用教材の融通(バリエーション)にも影響してきますから、1対2以上の個別指導では本当意味でのオーダーメイドカリキュラムは十分に機能しないことなります。また、これは指導形態によらずあてはまることですが、使用可能な教材のバリエーション(数)や持ち込み教材対応可能な場合は、相応に講師の質が維持されているということを示唆しています。個別指導だけではなく集団授業においても、教材を均一化する理由の一つは、講師の質をバラツキを回避するためなのですから。持論ですが、世の中に“絶対的”な万能教材はないと思っています。きちんとした成果を出すためには、教材を生徒あるいは状況によって選び、組み合わせることが必要です。

◆カリキュラム・授業・講師の管理をできる責任者がいるかどうか
仮に"よい先生”だとしても、講師一人の力量にすべてを任せることにはリスクが伴います(*家庭教師も同様)。その先生の特定の生徒に対する授業をいかに客観的に評価するか、そのような体制や能力が塾に存在しているかどうかも大切なことです。しかし、特に大手の個別指導塾にありがちですが、それぞれの教室にカリキュラムの作成やその評価をできるスタッフがいるとは限りません。また、いくら有能な講師がいたとしてワンマンプレーでは、指導の“安定感”には欠けてしまいます。そのような状況はむしろ家庭教師と同様で、軌道修正もきかず、サービスの善し悪しも“運任せ”となってしまいます。

◆引き出しの多さと懐の深さ
いい個別指導塾の見極め方のポイントは、その塾の講師あるいは責任者、ひいてはその塾全体として、どれくらいたくさんの“引き出し”を持っているか、です。特に個別指導の場合、いろいろなニーズがあるので、それに的確に応えるための“引き出し”が必要です。提案されるカリキュラムや指導方法、ひいてはその塾の講師やスタッフの“懐の深さ”、これが長く通える塾かどうかの分かれ目でもあります。

映像個別授業

◆映像授業のメリット&デメリット
最近はDVDやネット配信を使った映像授業が増えてきました。受講者から見れば、有名な講師あるいは一定レベル以上の授業を「いつでも好きな時」に受けられるというところが最大のメリットだと思います。また、システムによっては、講義内容が細分化されて選択の幅が拡がり、個別対応も可能になってきました。ただ、確認しておかなければならないのは、「映像授業」=「集団授業」だということです。時間や講座は選べますが、先生が一方的に講義し、決まった教材・カリキュラムに沿って授業が進められます(=要は生徒に合わせた指導ではないということ)。もちろんリアルタイムでの質問は不可能です。そこを勘違いしていると“選択ミス”となってしまいかねません。さらに一つ重要なことですが、指導効果については、正直、生徒によりますし、科目にもよります。場合によっては受講が進まない生徒もいます。つまり、適性によるというのが、実際に映像授業による指導を経験してきた筆者の見解です。映像授業によって短期間で効果を上げる生徒もいる一方で、その逆もかなりの割合でいるのです。「わかった気」「できる気」になってしまうと、そのまま時間が過ぎてしまうという怖さもあります。結局のところ、確実なチェック機能としては、人が介在せざるを得ないのです。ですから、映像授業+αの部分(演習面の充実度・介在する人やシステムの質)も指標として重要視すべきでしょう。

予備校・集団授業

◆予備校・集団授業のメリット&デメリット
従来の予備校・集団授業スタイルのメリットは、そのダイナミズムにあります。具体的には、予め決められたカリキュラム・進度に沿って授業が進められ、これらが個人の都合や状況によって左右されることはほぼないので、安定してコンスタントに学習を進めることが可能です。少人数であれば、先生に直接質問をすることも可能です。さらに、集団の中での緊張感や競争原理もメリットだと言えます。あとは、本当にその授業の設定レベルや内容・スタイルが自分に合っているかどうかを見極められるかがポイントになります。特に、クラス当たりの生徒数が多い場合や講座のレベル設定が曖昧な場合だと、レベルに合致している生徒の割合は、通説として3分の1以下だと言われます。講座数が少ない予備校や人数の割にクラス分けの数が少ない塾の場合は、特に注意が必要です。あと、時間の変更など融通が利かないところがデメリットとして挙げられます。

個別指導のメリット&デメリット

◆個別指導のデメリット
個別指導のデメリットについて。すでに集団授業のメリットについて書いているので、その反対だと思っていただければわかり易いのですが、まず基本的に競争原理などのダイナミズムがありません。それから、場合にもよりますが、カリキュラムや進度に個人の都合・状況が反映されてしまいます。たとえば、生徒の理解が遅ければ進度が遅れたり、生徒の学力レベルに合わせすぎて、目標レベルまで引き上げられない、という”落とし穴”もあります。

◆個別指導のメリット
個別指導のメリットについて。だいたいご承知の通り、オーダーメイドのカリキュラム、個々に合わせた指導法、時間・曜日が選べる、短期間でも変更や追加が可能であるなど、一般的にもよく謳われている通りで、それなりにたくさんのメリットがあります。ただし、ひとつ付け加えておきたいのは、そのメリットは“諸刃の剣”であって、ひとつ間違えるとデメリットにもなるということです。たとえば、生徒に合わせ過ぎたがために、カリキュラムの進度が遅れてしまうというリスクは先述の通りです。しかし、個別指導の最大のメリットは、「理解の確認ができる」「生徒がわかるまで、わかるように教えられる」ということですから、進度ばかりを気にしてはそのメリットが半減してしまいます。・・・では、どうしたらよいのでしょうか。そこで重要なファクターとして忘れていけないのは、個別指導ならではの“融通さ”、よく言えば“微調整機能”です。生徒がわかるまで教えることで生じてしまった"遅れ”をまた、別の所でペースUP・効率化を図ることで軌道修正も十分可能なのです。そのためには講師の能力とあわせて「カリキュラム作成」「カリキュラム管理」能力が重要となります。

講師?システム?それとも担任で選ぶ?

◆講師で選ぶ塾・予備校
いわゆる講師で選ぶことの多いのは予備校(映像授業含む)。実績のある有名講師に直接指導を仰ぎたいということであればそうなります。逆に講師を選べる」という文句の個別指導塾は、裏を返せば、”講師の質がバラバラ”の可能性があるので、余程吟味しないといけません。

◆システム・教材で選ぶ
教材の共通化やシステムの複合化(特に集団授業+個別指導、あるいは講義+演習などのハイブリッド型)は、サービスの均一化やそれぞれの指導形態を補完し合うことを意図しているので、講師の当たりはずれによるリスクはある程度回避できるということになるでしょう。

◆担任・教室長で選ぶ
もう一つの指針として、最初に対応してくれる人、あるいは長期的に面倒を見てくれる責任ある立場の人、つまり教室長や塾長、あるいは担任・チューターなどで選ぶという側面も忘れてならないところです。最近では、講師=授業する人、担任=全体のコーチングをする人、という棲み分けが多く見られますが、後者を重視して塾・予備校を選ぶという観点も安定した成果を得るために必要なことです。

塾・予備校に通う意義・本質

◆通塾することと家庭教師・通信教育の差異
そもそも、なぜ塾・予備校に通塾する必要があるのでしょうか? 家庭教師や通信教育とはどこが本質的に異なるのでしょうか? ひと言で言えば、“場”の存在です。塾・予備校という場所は、物理的に意味としての「学習する場」ということだけではなく、「環境」という抽象的な意義・効果が発生します。そこがまず家庭教師とは異なるところ。さらに、もう一つは、先生・スタッフ・生徒たちも含めて、“人”が介在するということです。週に1日だろうが、毎日であろうが、通塾したときに、目的を一とした他者と接し、疑問解決や目標達成のためにコミュニケーションを交わしていく。そして、その密度が濃ければ濃い程、通塾の意味が大きくなってくると考えます。どのような塾形態であったとしても、そういったところが通塾する意義・効果だと言えるでしょう。だからこそ、塾でのコミュニケーションの質・量が大切なのです。あとより具体的な話として、自習環境の有無や質問対応の体勢・情報管理など、これらも塾選びの際のひとつの指標となるので付け加えておきます。

まとめ(その1)

◆自分に合う塾・指導スタイル、教科によって最適な学習方法
どの指導形態が必要なのか、自分に合うのかは、詰まるところ、個人の性質や状況によるということ。科目にもよりますので、一概には申し上げられませんが、指導形態において唯一万能なものはありません。複数の塾や指導形態をかけもちする場合、利用価値を分担させることもあります。ただ、個別指導を運営している立場として最後に申し上げておくとすれば、最も指導成果の確実性が高いのは、個別指導だと思います。自分に合った指導方法で自分に合わせて進めてくれるのですから。しかし、先述の通り、個別指導だからといって何でもがそういうわけではありません。講師の質や、そこの塾のシステム・体制などによるところが大きいはずです。ぜひ、“いい塾”・“いい先生”に巡り会えることを前提に塾をお探しください。その際の参考にしていただければ幸いです。

追記:もちろん当塾が万能・完璧な塾だと言うつもりはありません。ニーズは様々ですし、塾との相性もあるので、その点を補足させていただきます。

広告を見るときのポイント

●大手塾と小規模塾とでは広告の打ち出し方が異なる。
まず単純に大手塾ほど広告予算が多いということ。デザインや仕様も立派なことが多いはずです。ただ逆にエリア毎に一括で広告チラシ等を作成するので、校舎別の独自性を出せない(知れない)というデメリットもあります。その場合は、各教室に直接電話したり、実際に足を運んで対応や様子をうかがうことをお勧めします。小規模塾の場合、逆に独自性を出すことができますが、単純に知名度・認知度が低いので、やはり情報を得るために電話や足を運ぶことをお勧めします。ただ受付対応の時間が限られている場合も多いので、事前にホームページ等で概要や指導方針を確認することもお勧めします。

●料金あるいは料金体系を掲載しているかどうか。
特に個別指導の場合、料金を公表していない場合が多くみられますが、考え方として、「料金を問い合わせさせる(資料請求含む)」という目的が営業的な方針として潜在しています。基本的には、料金(あるいは料金体系)を公開している方が安心感があると思いますし、仮に掲載していなくてもすぐに詳しく教えてくれるところであれば、まだ許容範囲かも知れません。あとは、入会時の初期費用がどれくらいかかるのか(例:入会金・教材費、あるいは諸経費の一括払いなど)も要チェックです。

●合格実績・体験記の妙。
ある意味、塾は“信用商売”ですから、合格実績や卒業生の合格体験記、あるいは在籍生(&保護者)の声など、客観的評価を広告上に掲載することは塾として重要なことであり、逆に言うと常套手段でもあります。そこで見極めなくてはいけないことは、それ自体が“本物”かどうか。最近は個人情報保護の問題があるので打ち出し方も難しくなっていますが、見極めるコツとしては、情報の整合性や文体、それらを含めておそらく見る側が直感的に判断できるのではないかと思われます。
それから合格実績の出し方。複数校舎の合計か単館での実績かは分別しておく必要があります。

●「先生を選べる」というコピーの裏側。
先生を選べると言えば聞こえがいいですが、特に個別指導の場合、少し注意が必要です。
すべてがそうではありませんが、(1)講師陣全体のクオリティにばらつきがあるので、「相性」というキーワードを強調して、なんとなく数人の講師を試させて“相対評価させる”、つまり“選んだ気”にさせている。(2)入会カウンセリングをする教室責任者が生徒のタイプを把握できていない。(3)講師任せの塾、つまり組織として機能していない。以上の可能性があります。

そもそも「相性」といっても生徒本人の主観が正しいとは限らず、むしろ第三者的・客観的に相性を判断する視点も必要です。他業種の広告もそうですが、「選べる」という文言は、裏を返せば、消費者心理をくすぐる戦略的なアプローチでもあります。

2010.7.17更新